この記事の流れ
  1. 一つの題名が、一つの素材を意味するわけではありません
  2. 作家が語る「端緒」と「回復」
  3. 最初の個展は、Bussot一家の5日間から始まりました
  4. 第2回個展では、包装紙が端緒となりました
  5. 2015年の作品では、5人の参加者の視点が中心となりました
  6. Mahina Vegan Tableの作品は、長く続く問いの一場面です
  7. 「真実性回復の端緒」について

先に答えると

Kim Hongrokは、作品を、真実性へ近づくために鑑賞者へ提示する一つの「端緒」と説明します。そのため、いかだの上のパフォーマンス、ハンバーガーの包装紙を用いた作品、布に投影した映像のように、人、出来事、媒体が異なっても、「真実性回復の端緒」という大きな題名が続きます。共通の題名は同じ答えを繰り返すのではなく、異なる出発点を設け続ける方法です。

共通の題名を理解する三つの手がかり

  • 「端緒」は結論ではなく、考え始めるきっかけとなる具体的な人、物、出来事です。
  • 「回復」は完成した状態というより、本質へ近づこうとする継続的な過程として説明されます。
  • 共通の題名のもとでも、それぞれの作品の参加者、出来事、媒体、倫理的な文脈は異なります。

本文

一つの題名が、一つの素材を意味するわけではありません

《真実性回復の端緒》という言葉を初めて目にすると、同じ形と素材の作品が続くシリーズを想像しやすいかもしれません。しかし、このシリーズは、インスタレーション、パフォーマンス、フィルム、写真、テキスト、ミクストメディアなど、異なる形式で展開します。

共通しているのは画面の形ではなく、問いかける方法です。作家はその都度、具体的な人、出来事、物を出発点とし、鑑賞者が慣れ親しんだ判断をあらためて見つめるよう促します。

作家が語る「端緒」と「回復」

Kim Hongrokは作品を、真実性という主題を鑑賞者へ伝える際に用いる「美術の表現方法を備えた一つの手がかり」と語ります。また「回復」を、固定された完成状態ではなく、本質に近づこうと努める過程として説明しています。

したがって、端緒は正解の代わりとなる標識ではありません。鑑賞者が考え始めるための具体的な対象であり、回復はその対象をもう一度見つめる過程に近いものです。

最初の個展は、Bussot一家の5日間から始まりました

2013年の最初の個展《真実性回復の端緒:Bussot, Raul》は、1993年にキューバを離れ、米国へ向かったBussot一家の経験を扱いました。作家はRaul Bussot Jr.とともに、ギャラリー内の金属製いかだで5日間を過ごすパフォーマンスを行いました。

この作品における端緒は、ある家族の記憶、いかだ、ともに過ごした時間です。難民の経験全体に一つの答えを与えるのではなく、特定の人の経験と再び向き合う具体的な場面をつくりました。

第2回個展では、包装紙が端緒となりました

同年の第2回個展《真実性回復の端緒:マクドナルド》では、多くの人々の協力を得て20か国から集めたハンバーガーの包装紙と、ごく小さなダイヤモンドを一つの画面に収めました。展覧会は2013年10月9日から31日まで開催されました。

人が去ったあとに残る包装紙と都市名が新たな出発点となり、題名は保たれながら、画面と鑑賞方法は大きく変わります。現在Mahina Vegan Tableで見られる作品は、このシリーズの一部です。

2013年の第2回個展に設置されたKim Hongrokの「マクドナルド」シリーズ
2013年の第2回個展に設置された《真実性回復の端緒:マクドナルド》シリーズ

2015年の作品では、5人の参加者の視点が中心となりました

2015年の第3回個展はインスタレーションとフィルムを用い、パク・オクソン、イ・オクソン、キム・スノク、キム・グンジャ、カン・イルチュルの5人の参加者の映像で構成されました。この作品は、現在Mahina Vegan Tableに展示されている作品とは別の展覧会です。

共通の題名のもとでも、それぞれの作品は異なる参加者と歴史的経験を扱います。題名が同じでも、出来事や文脈まで同じという意味ではありません。

Kim Hongrokの第3回個展で作品と向き合う鑑賞者
Kim Hongrokの第3回個展会場

Mahina Vegan Tableの作品は、長く続く問いの一場面です

Mahina Vegan Tableで「マクドナルド」シリーズを見るときは、包装紙ときらめく表面から始めるだけでも十分です。都市名を読み、素材の対比を見たあとで共通の題名を思い起こすと、この作品が作家のより長い制作の中で、どこに位置するかが分かります。

食事の途中で目に入った一つの作品から始め、気になった点はKim Hongrokのほかの展覧会へつなげて見ることができます。

「真実性回復の端緒」について

すべての作品が、同じ素材で制作されていますか?
いいえ。このシリーズは、インスタレーション、パフォーマンス、フィルム、写真、テキスト、ミクストメディアなど、異なる形式で続いています。
「端緒」は、作品の正解を意味しますか?
作家の説明では、端緒は真実性へ近づくため、鑑賞者へ提示する手がかりに近いものです。結論の代わりとなるのではなく、考え始めるきっかけになります。
現在Mahina Vegan Tableには、どのシリーズが展示されていますか?
Mahina Vegan Tableでは、2013年の《真実性回復の端緒:マクドナルド》シリーズ10点を常設展示しています。
作家のほかの展覧会は、どこで見られますか?
Kim Hongrok公式サイトで、個展と作品を続けてご覧いただけます。

共通の題名のもとで、異なる人、出来事、媒体がどのようにつながるかを、Kim Hongrok公式サイトでさらにご覧いただけます。

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