この記事の流れ
  1. 抽出比率・濃度・抽出収率の違い
  2. 湯を注いだ後、粉の層で起こる変化
  3. 抽出条件ごとの変化
  4. プアオーバーに必要な道具
  5. 水の硬度とアルカリ度がコーヒーに与える影響
  6. 挽き目の記録と調整方法
  7. ケトルの湯と粉の層の温度差
  8. 湯の注ぎ方と粉の層の流れ
  9. 抽出後の加水で濃度を調整する
  10. プアオーバーの5つのレシピ
  11. 好みの味に合わせる調整の順序
  12. 味と湯の抜け方に合わせた調整方法
  13. 味を安定させる抽出記録
  14. 安全と衛生
  15. プアオーバーで混同しやすいこと
  16. マヒナで楽しむコナのプアオーバー

プアオーバーは、ひいたコーヒーに湯を注ぎ、重力で通過させる透過式の抽出方法です。湯と粉をすべて1つの容器に浸しておく浸漬式とは異なり、新しく注いだ湯が粉の層を通り、水に溶ける成分や微細な粒子を下へ運びます。

同じ豆を使っても、ドリッパーの形、フィルター、挽き目、水の成分によって味が変わります。湯を注ぐ速さや位置も重要です。これらの条件が、粉の層に湯がとどまる時間や、溶け出す成分の量を変えるためです。

まずは以下のレシピどおりにいれてから、味に合わせて調整してみてください。豆の量、湯の量や性質、湯温、挽き目、注ぎ方のうち、一度に変える条件を1つにすると、味が変わった理由をつかみやすくなります。

枝で熟していくコーヒーの果実

抽出比率・濃度・抽出収率の違い

豆と湯の比率

抽出比率(brew ratio)は、使った豆と注いだ湯の重量を比較した値です。豆15gに湯250gを使うと1:16.7になります。湯の比率の数字が小さいほど、おおむね濃く、大きいほど軽いコーヒーになります。

できあがったコーヒーの重量

注いだ湯250gの一部は、ぬれた粉やフィルターに残るか、蒸発します。湯が落ちきった後、サーバーに入ったコーヒーを量ると、できあがった飲料の重量が分かります。この重量と飲料の濃度を知ることで、豆からどれだけの成分が溶け出したかを計算できます。

飲料の濃度を示すTDS

総溶解固形分(Total Dissolved Solids、TDS)は、コーヒーに溶けている固形分の重量比率です。コーヒー用の屈折計で測定します。TDSが1.30%なら、コーヒー100gに約1.30gの固形分が溶けているという意味です。TDSが高いほど飲料は濃くなりますが、同じ濃度でも豆、焙煎、抽出状態によって味は変わります。

豆から溶け出した成分の割合、抽出収率

抽出収率(extraction yield)は、使った豆の重量に対して、飲料に溶け出した成分が占める割合です。豆15gからコーヒー225gができ、TDSが1.33%なら、抽出収率は19.95%です。濃度がカップの中のコーヒーの濃さを表すのに対し、抽出収率は豆からどれだけの成分を取り出したかを表します。

抽出収率は、粉の層全体の平均値です。湯が特定の通り道に集中するチャネリング(channeling)が起こると、湯がよく通る部分と十分にぬれない部分で、抽出の程度が異なります。平均の抽出収率が適切な範囲でも、味が荒く、香りが不足することがあるのはそのためです。

湯を注いだ後、粉の層で起こる変化

粉を湿らせてガスを抜く蒸らし

焙煎中に生じた二酸化炭素は、豆からゆっくり抜けていきます。最初に湯を注ぐと、残っていた気体が出て、粉の層が膨らみます。少量の湯で先に粉を均一に湿らせる工程を、ブルーム(bloom)、または蒸らしと呼びます。本抽出の前に、大きな気泡や乾いた塊を減らす工程です。

ガスの抜ける速さは、焙煎日、焙煎度、保存状態、豆の水分、冷却条件によって変わります。蒸らし時間は、豆の状態やガスの抜ける速さに合わせて調整します。

湯を注いで湿らせた、円すい形ドリッパーのコーヒーの層

成分が溶けて移動する仕組み

湯は粉の表面や粒子の隙間に入り、水に溶ける成分を外へ運びます。抽出の前半と後半に落ちるコーヒーでは、成分が同じではありません。さまざまな味や香りの強さは、おおむね抽出が進むにつれて下がりますが、甘みや花の香りなど、後半の抽出液で強く感じられた例もあります。

酸味や苦みを生む成分は、抽出中に重なり合って溶け出します。味を理解するには、抽出の順序に加え、各段階の濃度や、複数の成分の組み合わさり方も考える必要があります。

フィルターとバイパス

ペーパーフィルターは、粗い粒子、水に浮遊する多くの微粒子、油滴を捕らえます。水に溶けた成分や一部の微粒子は、フィルターを通過します。

湯が粉の層を十分に通らず、フィルターの壁や構造の隙間から流れ出る現象を、広い意味で意図しないバイパスと呼びます。一方、抽出後のコーヒーに意図的に水を加え、濃度だけを下げる方法もあります。これも加水、またはバイパスと呼ばれ、フィルターコーヒーの濃さを別に調整するときに使います。

抽出条件ごとの変化

次の表は、1つの条件を変えたときによく起こる変化をまとめたものです。

変える条件 粉の層や湯によく起こる変化 味に起こり得る変化 あわせて確認する問題
細かくひく 湯と触れる面積が増え、粒子の間隔が狭くなるため、成分が早く溶けたり、湯が長くとどまったりする可能性がある 濃度と抽出収率が上がる可能性がある 微粉がフィルターを詰まらせると、チャネリングや渋みが生じることがある
粗くひく 湯と触れる面積が減り、湯が速く流れる可能性がある 抽出収率が下がる可能性がある ドリッパーの出口が流れを左右する場合、時間の差は小さいことがある
湯の量を増やす 豆の成分を溶かす湯が増える一方、最終濃度は下がる可能性がある 味が軽くなり、抽出収率は上がる可能性がある 味が薄いことと、抽出が足りないことを混同しやすい
湯温を上げる 成分の溶解や拡散が速まり、粉の層の温度を保ちやすくなる 同じ時間なら抽出収率が上がる可能性がある 最終TDSと抽出収率を同じにすると、温度だけによる影響は小さいことがある
粉の層をより多く動かす 新しい湯と粒子がより多く接触し、粒子の位置が変わる 抽出収率が上がる可能性がある 微粉が下へ移動し、フィルターが詰まったり、流れが不均一になったりすることがある
水位を上げる 水の高さによる圧力、水頭が大きくなり、流速が変わる可能性がある ドリッパーによって、抽出が速くなったり、進みやすくなったりすることがある フィルターの壁を伝って抜ける湯や、粉の層の動きも変わる
注ぐ回数を増やす 注ぐたびに、粉の層の動き、水位、温度、接触時間が変わる 味がどの方向に変わるかは一定しない 注ぐ回数以外の条件も同時に変わりやすい
抽出後に水を加える 溶けた固形分はほぼ変わらず、飲料の重量だけが増える 濃度と、口の中で感じる味の強さが下がる 原則として抽出収率は変わらない

湯温は、成分が溶ける速さや湯の流れに影響します。ただし、挽き目や抽出時間を調整して濃度と抽出収率を同じにすると、87°C、90°C、93°Cの味の差が小さく感じられることもあります。そのため、温度だけでなく、できあがった味、濃度、抽出時間をあわせて記録することが大切です。

プアオーバーに必要な道具

基本の道具

  • はかり:豆と湯を実際の重量で記録します。0.1gまたは1g単位で量れるものを使います。
  • バーグラインダー:かみ合う2枚の刃の間で豆を砕く道具です。プロペラ式よりも、近い粒度で繰り返しひきやすくなります。
  • ドリッパーと適合するフィルター:フィルターの素材、厚み、折り方、ドリッパーへの密着具合で、湯の流れが変わります。
  • ケトル:細く一定した湯の流れを作るには、注ぎ口の長いグースネックケトルが便利ですが、必須ではありません。
  • タイマーとサーバー:抽出時間と最終的な飲料の重量を記録します。タイマー付きのはかりでも構いません。
ドリッパー、サーバー、はかり、ケトルをそろえたプアオーバーの道具

味と抽出を詳しく管理する道具

  • 温度計:ケトルの表示温度と実際の湯温の差を確かめます。
  • コーヒー用屈折計:TDSを比較し、抽出収率を計算します。機器の説明書に従ってゼロ点や温度の補正を行い、測定用のコーヒーを準備する必要があります。
  • 水の硬度とアルカリ度を調べる道具:一般的なTDSメーターだけでは、水中のイオンの種類や量は分かりません。
  • 挽き目を比較する見本や写真:グラインダーの目盛りは、機種、ゼロ点、刃の摩耗状態が異なると、そのまま比較できません。

最初は、はかりで豆と湯の量をそろえ、グラインダーで挽き目を調整することに慣れるとよいでしょう。屈折計は、味で感じた違いを濃度や抽出収率で詳しく比較したいときに役立ちます。

水の硬度とアルカリ度がコーヒーに与える影響

プアオーバーに使う水は、香りや酸味に影響します。ミネラルの総量が近い水でも、カルシウム・マグネシウムの構成やアルカリ度が違うと、コーヒーの味が変わることがあります。

  • TDS:水に溶けた物質の総量を推定した値です。どの物質が溶けているかは示しません。
  • 硬度:主にカルシウムとマグネシウムの量に関係します。コーヒー成分が溶ける過程や、機器にスケールが付着する程度に影響することがあります。
  • アルカリ度:酸を中和してpHの変化を抑える能力です。アルカリ度が高いと、コーヒーの酸味を感じにくくなることがあります。
  • pH:その時点で水が酸性か塩基性かを示します。アルカリ度とは別の値です。
  • 塩素と不快なにおい:コーヒーの香りを直接損なうことがあるため、取り除くとよいでしょう。

水に溶けた、正の電荷を持つカルシウムやマグネシウムなどのイオンが、コーヒー抽出に与える影響については、まだ一様な結論が出ていません。化学計算では、両イオンが一部のコーヒー成分と結合し得ることが示されました。一方、コーヒー成分を個別に調べた実験では、対象とした有機酸の抽出量は、カルシウムやマグネシウムの構成に大きく左右されませんでした。水に溶けにくいほかの成分や、複数の味を同時に感じる過程が影響する可能性もあります。

水の成分表示を見るときは、特定のミネラル1つよりも、硬度、アルカリ度、実際にいれたコーヒーの味をあわせて比較するほうが役立ちます。

水だけを変える比較

豆とレシピは変えず、水だけを変えて2杯いれます。市販の水なら製品名を記し、ラベルに硬度やミネラルの情報があれば、あわせて記録します。湯温、挽き目、注ぎ方もそろえます。どちらの水を使ったか分からない状態で、熱いうちから冷めるまで味を比較します。何度試しても同じ違いが出るかを確かめてから、使う水を変えるか判断します。

挽き目の記録と調整方法

あるグラインダーの目盛り20は、別のグラインダーの20と同じ粗さを意味しません。同じ機器でも、刃が触れるゼロ点、刃のかみ合い、摩耗、回転速度、豆の密度や焙煎度によって、粒子の大きさや均一さが変わります。

使うグラインダーの機種、目盛り、抽出時間を記録すると、次の一杯を調整しやすくなります。豆をひくときに生じる非常に細かい粉を、微粉と呼びます。微粉の量も、湯の抜け方に影響します。

挽き目は、次の順序で調整します。

  1. 豆と湯の比率、湯温、注ぎ方を変えずに保ちます。
  2. 酸味が鋭く、香りが弱く、湯が速く抜けすぎる場合は、1段階細かくひきます。
  3. 口の中が乾くような渋みや荒い苦みがあり、湯が落ちきるまでに時間がかかりすぎる場合は、1段階粗くひきます。
  4. 時間がかかるのに味がぼやける場合は、微粉がフィルターを詰まらせたか、チャネリングが起きた可能性があります。さらに細かくひく前に、粉の層を動かしすぎていないか、フィルターがドリッパーにどのように接しているかを確かめます。

挽き目を調整するときは、粒子の大きさと湯の抜け方をあわせて確かめる必要があります。微粉で湯が滞留したり、特定の通り道に偏ったりすると、細かくひいても均一な抽出が難しくなります。

ケトルの湯と粉の層の温度差

手で湯を注ぐとき、ケトルの表示温度と粉の層の実際の温度は異なります。ケトルの素材、室温、ドリッパーの素材、予熱の有無、注ぐ速さによって、湯が熱を失います。

焙煎度に合わせて、次の範囲で湯温を調整してみてください。

  • 浅煎り〜中煎り:92〜96°C
  • 中煎り〜深煎り:88〜93°C
  • 非常に深く焙煎され、成分が早く溶ける豆:85〜90°Cから試せます

湯温を変えると、湯の流れる速さや総抽出時間も変わることがあります。温度を調整した後は、味と湯の抜け方がそれぞれどう変わったかを確かめてみてください。

湯の注ぎ方と粉の層の流れ

グースネックケトルで、ペーパーフィルター内のコーヒーの層に湯を注ぐ様子

蒸らしに使う湯の量と時間

蒸らしには、豆の重量の約2.5〜3.5倍の湯を注いでみてください。豆15gなら、湯は38〜53gほどです。

40〜60秒待ち、乾いた塊が見えたら、ドリッパーを短く軽く揺するか、スプーンで混ぜて湿らせます。粉の層を動かしすぎると、微粉がフィルター側へ移動し、その後の湯の流れを妨げることがあります。

注ぐ高さと速さ

湯の流れに当たったコーヒーの粒子は、動いて混ざります。そのため、注ぐ量や高さも、粉の層のかくはんや成分の溶解に影響することがあります。

適切な注ぐ高さは、ドリッパーや豆によって異なります。まずは、湯が跳ねたり流れが途切れたりしない範囲で、毎回同じような高さと速さで注ぐ練習をしてみてください。

水位と分割注湯

  • 水位を上げると水の高さによる圧力は増しますが、フィルターの壁を伝って抜ける湯も増えることがあります。
  • 何度かに分けて注ぐと、粉の層がより動くと同時に、水位、温度、総抽出時間も変わります。
  • 連続して注ぐときは、湯の流れが中央だけに集中しないように調整します。

同じ回数に分けて注いでも、各回の量や間隔が違えば、仕上がりは変わります。以下のレシピのように、湯の累計量と注ぐ時刻をあわせて決めておくと、安定していれやすくなります。

抽出後の加水で濃度を調整する

抽出後に水を加えると、豆から溶け出した成分量はほぼ変わらず、飲み口だけが柔らかく軽くなります。TDS1.55%のコーヒー180gに約35gの水を加えると、濃度は約1.30%に下がります。一度に大量に加えず、5〜10gずつ加えてよく混ぜ、味を確かめると、好みの濃さに合わせやすくなります。

プアオーバーの5つのレシピ

湯を注ぎ始めた瞬間を0:00とします。表の抽出終了の目安は、注ぎ始めからドリッパーの下の湯の流れがほぼ止まるまでの時間です。目安の範囲を外れた場合は、味見をしてから挽き目を調整します。累計150gは、その時点までに注いだ湯の総重量が150gという意味です。

1. 円すい形ドリッパーの基本レシピ

項目 設定
コーヒー豆 15g
250g
比率 約1:17
湯温 93°C
挽き目 中挽きより少し細かめ
蒸らし 0:00〜0:45、45g
1回目の注湯 0:45〜1:10、累計150g
2回目の注湯 1:20〜1:45、累計250g
抽出終了の目安 約2:30〜3:30

フィルターを十分に湯通ししてサーバーを温め、湯を捨てます。ひいた粉を平らにし、45gの湯を均一に注いだら、ドリッパーを1回軽く揺すります。2回の本抽出では中央とその周辺に注ぎ、フィルターの壁には直接注ぎません。最後にドリッパーを1回軽く回し、粉の層を平らにします。

2. 平底ドリッパーでいれる2杯分

項目 設定
コーヒー豆 20g
320g
比率 1:16
湯温 92°C
蒸らし 0:00〜0:45、60g
1回目の注湯 0:45〜1:05、累計160g
2回目の注湯 1:20〜1:40、累計240g
3回目の注湯 1:55〜2:15、累計320g
抽出終了の目安 約3:00〜4:15

蒸らしで粉全体を均一に湿らせてから、広い粉の層に湯がまんべんなく届くように注ぎます。前に注いだ湯がすべて落ちるのを待つより、表の時刻と湯の累計量に沿って続けて注ぎ、仕上がりの味に合わせて挽き目を調整します。

3. 少量の豆でいれる小さな一杯

項目 設定
コーヒー豆 12g
200g
比率 約1:17
湯温 93°C
蒸らし 0:00〜0:40、36g
本抽出 0:40〜1:25、累計200gまで続けて注ぐ
抽出終了の目安 約2:00〜3:00

豆が少ないと粉の層が浅くなり、同じ挽き目でも湯が速く抜けることがあります。味が薄く鋭い場合は、少し細かくひいてみてください。

4. 抽出後に加水するバイパスレシピ

項目 設定
コーヒー豆 18g
抽出に使う湯 240g
抽出後に加える水 60g
使用する水の総量 300g、約1:17
湯温 93°C
蒸らし 54g、45秒
本抽出 累計150g、240gの2回に分けて注ぐ
抽出後 水60gを加え、よく混ぜる

豆18gの層に湯240gを通し、抽出後に水60gを加えます。粉の層を通す湯の量と、飲むときの濃度を別々に調整する方法です。表の300gは、抽出と希釈に使う水の合計で、粉やフィルターに残る水があるため、できあがる飲料の重量はこれより少なくなります。

5. 氷の上に抽出するアイスプアオーバー

項目 設定
コーヒー豆 20g
熱い湯 200g
サーバーに入れる氷 120g
湯と氷の総量 320g、1:16
湯温 94°C
蒸らし 0:00〜0:45、60g
1回目の注湯 0:45〜1:10、累計130g
2回目の注湯 1:20〜1:45、累計200g

通常より少ない湯を使うため、少し細かくひいて十分に抽出します。湯が落ちきったらサーバーの中を混ぜて氷を溶かし、温度と濃度を均一にします。

好みの味に合わせる調整の順序

コーヒー業界では、豆や器具に合わせて抽出条件を調整することを、ダイヤルイン(dial-in)と呼びます。一度に1つの条件だけを変えると、何が味を変えたのかをつかみやすくなります。

  1. 新しい豆を開けたら、最初の一杯は決めておいた基本レシピでいれます。
  2. 飲みやすい温度まで冷まし、温かいときとぬるくなったときの香りや味を比較します。
  3. まず、口の中で感じる濃さを判断します。濃すぎる場合は豆と湯の比率を変えるか、バイパスで水を加えます。薄すぎる場合は湯の量を減らします。
  4. 濃さが合ったら、抽出の状態を確かめます。酸味が鋭く味がぼやけるなら、細かくひく、湯温を上げる、接触時間を延ばす、のうち1つだけを選びます。
  5. 口の中が乾き、味が荒い場合は、粗くひく、湯温を下げる、粉の層を動かす量を減らす、のうち1つだけを選びます。
  6. 調整したレシピでもう一度いれ、好みの味を安定して再現できるかを確かめます。

味と湯の抜け方に合わせた調整方法

起きている問題 考えられる原因 最初に変えること 続けて確認すること
鋭い酸味と短い余韻 抽出収率が低い、湯温が低い、流れが速すぎる 1段階細かくひく 湯温と、蒸らし時のぬれ方
苦みと口の中が乾くような渋み 一部で成分が溶け出しすぎている、微粉によるフィルターの詰まり、粉の層の動かしすぎ 1段階粗くひく 分割して注ぐ回数と、ドリッパーを回す回数を減らす
濃く、酸っぱく、荒い味 濃度が高いうえに、粉の層の中で均一に抽出できていない 湯を増やす前に、粉の層が均一か、注ぎ方に偏りがないかを確かめる 抽出後の粉の層の形と、フィルターの壁を伝って抜けた湯
薄いのに苦い 低い濃度と、後半の荒い抽出が重なった可能性がある 湯を減らし、少し粗くひく 可能ならTDSと抽出収率を別々に測定する
湯の抜け方が急に遅くなった 微粉の増加、フィルターの詰まり、粉の層の動かしすぎ 少し粗くひくか、粉の層を動かす量を減らす グラインダーの清掃状態、フィルターの製品名と製造時期
湯が速く抜けすぎる 粗い挽き目、粉の層の亀裂、フィルターの密着不足 少し細かくひく 注ぐ位置と蒸らしの状態
いれるたびに仕上がりが違う 重量、湯温、注ぐ量や速さ、各段階の時刻が一定していない はかりで湯の累計量をそろえる ケトルから一定量を注ぐ練習
冷めると口にざらつきや重さが残る 微粉、一部での過度な抽出、焙煎状態 粉の層を動かす量を減らし、少し粗くひく 水の性質と豆自体の味を比較する

抽出時間は味とあわせて判断します。ドリッパー、豆の量、フィルター、挽き目が違えば、適した時間も変わります。いつもより時間が大きく変わったときに、原因を探るための記録として活用してください。

味を安定させる抽出記録

記録する項目

  • 豆の名前、生産単位であるロット、焙煎日
  • ドリッパーとフィルターの製品名・サイズ
  • 豆の重量と湯の総量、使用した水または水質情報
  • ケトルの設定温度と、実際に測った湯温
  • グラインダーの機種と目盛り、ゼロ点の基準
  • 注ぎ始めと注ぎ終わりの時刻、各段階の湯の累計量
  • ドリッパーを回した回数や、かき混ぜた回数
  • 湯がほぼ落ちきるまでの時間と、できあがった飲料の重量
  • 屈折計を使った場合はTDSと計算した抽出収率
  • 熱いときと冷めたときの香りや味

複数杯の味をそろえる方法

同じレシピで何杯かいれ、飲料の重量と抽出時間を比較します。両方が近いのに味が違う場合は、湯を注いだ位置、粉の層を動かした程度、挽いた粉の状態を確かめてみてください。重量と時間は、抽出工程の違いを探す手がかりになり、最終的には実際の味も比較して判断します。

安全と衛生

  • 熱湯は重いやけどの原因になります。ドリッパーとサーバーは、ぐらつかない平らな場所に置き、子どもや電源コードから離します。
  • ガラス製サーバーに急激な温度差を与えず、メーカーが定める使用温度を守ります。
  • フィルターを湯通しした湯や、長くたまった水は捨てます。サーバーとドリッパーは使用するたびに洗い、完全に乾燥させます。
  • グラインダーの排出口や刃を、指で掃除しません。電源プラグを抜き、メーカーが案内する方法で清掃します。
  • 自作のミネラル濃縮液は、食品用の材料、正確なはかり、検証済みの計算法がなければ使用しません。配合を誤ると、飲用の安全性や機器の腐食に問題が生じることがあります。

プアオーバーで混同しやすいこと

ハンドドリップとプアオーバーの呼び方の違い

韓国では、人が手で湯を注いでいれるフィルターコーヒーを、ハンドドリップまたはプアオーバーと呼びます。プアオーバーは、上から湯を注ぐ動作を意味し、重力で粉の層を通過した湯がフィルターを経てサーバーやカップに落ちる方法です。

1:15と1:17の濃さ

ほかの条件が同じなら、湯が少ない1:15のほうがおおむね濃くなります。ただし、実際の飲料の濃度は、豆から溶け出した割合と、粉の層やフィルターが保持する湯の量によって変わります。投入比率だけではTDSを確定できません。

沸騰した湯と焦げた味の関係

すでに焙煎したコーヒーが、100°Cの湯に触れて再び焦げることはありません。高い湯温は成分が溶ける速さや味のバランスを変えることがあり、湯はケトルから粉の層へ移る間にも冷めます。焦げた味は、深い焙煎、一部での過度な抽出、古いコーヒー油や器具の汚れなど、さまざまな原因で生じることがあります。

豆によって変わる蒸らし時間

蒸らしは、必ず30秒に合わせる工程ではありません。焙煎日、焙煎度、挽き目、豆の量によって、ガスが抜ける速さや粉が湿る速さは変わります。40〜60秒を出発点とし、結果を記録しながら調整します。

湯の抜け方が遅すぎるときの確認順序

まず、ドリッパーを回しすぎたり、粉の層をかき混ぜすぎたりしていないかを確かめます。高い位置から強く注いで微粉が下へ移動していないか、フィルターがドリッパーにどう接しているか、グラインダーでいつもより微粉が多く出ていないかも調べます。挽き目は、その後に調整します。

TDSと過抽出の違い

TDSが高いからといって、必ずしも過抽出とは限りません。TDSは飲料の濃度で、抽出収率は豆から溶け出した成分の割合です。少ない湯で適切に抽出すれば、TDSが高くても抽出収率は適切な場合があります。

抽出後に加水するバイパスの使い方

抽出後に水を加えると、抽出収率をほぼ保ったまま、飲みやすい濃度に調整できます。加えた水の量を記録すれば、同じ味を再現しやすくなります。

マヒナで楽しむコナのプアオーバー

マヒナでは、100%ハワイコナのシングルオリジンを、引き続きプアオーバーで提供しています。温かい一口目では香りや口当たりを楽しみ、少し冷めたら甘みや酸味がどう変わるかを比べてみてください。

花とメニューが置かれたマヒナのテーブル
マヒナ・ヴィーガン・テーブルのメニューを見る